上村松園『牡丹雪』 / 絵
上村松園『牡丹雪』 一九四四年
美人画を多く手掛けた日本画家の上村松園が描く絵のなかで、個人的にもっとも好きな絵が、一九四四年制作の『牡丹雪』だ。
和傘を差し、前かがみになった商家の娘と、後ろに頭巾をかぶっている侍女が描かれる。
余白を大胆に使った構図で、女性の儚さが際立っている。
服の色合いも美しく、映えている。表と裏で異なる布で仕立てた帯は「昼夜帯」と呼び、当時の女性たちが愛用していたスタイルだと言う。
上村松園の作品は、多くが切手となり、この『牡丹雪』も切手になっている。
松園は、「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵」こそ、自分の念頭としているものだと語っている。
上村松園の『牡丹雪』は、日本画専門の美術館で東京広尾にある山種美術館に所蔵されている。
山種美術館のミュージアムショップでは、『牡丹雪』の一筆箋も販売している。
画像 : 山種美術館ミュージアムショップ
手紙や一筆箋のような古風なものによく似合っている。
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