内藤礼『世界によってみられた夢』 作品集
現代美術家として様々なかたちの表現を試みる内藤礼さんの本『世界によってみられた夢』。一九九〇年出版。
僕たちの今実際に見ている世界がある。と同時に、想像の世界がある。それは夢の世界であり、また、世界によってみられた夢でもある。
僕たちは日々、世界によってみられた夢を見ている。
この本は、内藤礼さんの想像の欠片が散りばめられている。ドローイング、オブジェ、日記のような、白昼夢のような、あるいは詩のような手書きの文章が並ぶ。
こうした内藤さんの作品を、自ら撮影し、レイアウトや装丁も自身の手で行なったのだと言う。
自らの手で自らの作品を組み直すことによって、さながら脱皮のように、それまでの自分をもう一度発見していったのだろうか。
求めていたものは、本というよりも、本をつくる過程だったのかもしれない、と思う。
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