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小村雪岱に関する本、画集や伝記、図録など

小村雪岱に関する本、画集や伝記、図録など

明治生まれで、大正から昭和初期にかけて活躍した日本画家の小村雪岱は、生前、本の装丁や挿絵などが人気となり、民衆の評判は高かった。

しかし、画家というよりも、挿絵やデザイン、舞台美術など商業的な世界が中心だったこともあり、雪岱はこれまで「美術史」という枠内で語られることが少なかった。

そのため、没後はほとんど画家として顧みられる存在ではなかったが、二〇〇九年、埼玉県立近代美術館で開かれた小村雪岱の展覧会『小村雪岱とその時代 粋でモダンで繊細で』を契機に、近年、雪岱再評価の機運が高まっている。

小村雪岱は、作家泉鏡花の作品の装丁を多く手掛け、小説と絵のようにジャンルは違えども、年齢の離れた年上の泉鏡花を師として仰ぎ、彼の幽玄な感性を内面化していった。

江戸の情緒を余白と繊細な線で表現しながら、同時にモダンなセンスも持ち合わせていた小村雪岱。

彼は、類稀なバランス感覚によって、江戸が舞台の小説『おせん』の挿絵を描きながら、資生堂の意匠部に所属しているときには現代にも通じる優美な香水の瓶や資生堂書体のデザインを行うなど、「美」の世界を幅広く担った。

まだ画集も含め、小村雪岱に関する本はそれほど多くはないが、以下、雪岱にまつわる本をまとめてみたので紹介したいと思う。

 

大越久子『小村雪岱 物語る意匠』

埼玉県立近代美術館の学芸員として小村雪岱の展覧会にも携わった著者による本。

小村雪岱の魅力を「意匠」にフォーカスして捉え、意匠、すなわち装丁と挿絵を中心に雪岱の作品を紹介する。

サイズも大きめで、装丁や挿絵の作品掲載数はもちろん、(描いた数自体が少ない)肉筆画も掲載され、著者の雪岱愛が存分に詰まった一冊となっている。

 

原田治、他『意匠の天才 小村雪岱』

サイズは少し小ぶりだが、こちらも意匠の天才として小村雪岱を紹介した本だ。

作品の掲載数も多く、また雪岱本人の随筆や関連する人々の雪岱評、今活躍している漫画家やエッセイストの書くエッセイ、装丁の紹介など、文章も存分に堪能できる。

様々な角度から雪岱を知ることができる。『小村雪岱 物語る意匠』とともに、最初の一冊におすすめだと思う。

 

星川清司『小村雪岱』

小村雪岱の伝記。伝記と言っても、論文めいたものというより小説に近い。小気味のよい軽やかなタッチの文章は読みやすく、文字周りの余白も心地よい。

編集者の松岡正剛氏は、「この本はいい。雪岱の絵がいいから当たり前にいいというのではない。星川清司の文章もいいし、菊地信義の装幀も本文組もいい。みんないい。人に教えたくないくらいなのである」と評している。

 

小村雪岱『小村雪岱随筆集』

雪岱自身が書いた文章というのはほとんどないが、没後に刊行された随筆集『日本橋桧物町』に新たに発掘された四十四編を加えた、最新の随筆集となっている。

 

小村雪岱『小村雪岱作品集』

小村雪岱は、気軽に手に入る画集がまだ未刊行となっているので、高価な作品集を購入するか、または、ポストカードが小さな画集のように一冊の本になっている『小村雪岱―ポストカードブック (ちいさな美術館)』などがある。

 

真田幸治、小村雪岱『小村雪岱挿絵集』

小村雪岱の中心的な仕事の一つである「挿絵」に絞った作品集。雑誌や新聞に載った挿絵を、三百五十点以上掲載。

細かい情報も載っているので、論文など研究の資料としても活用できる。

 

展覧会『小村雪岱とその時代 粋でモダンで繊細で』図録

画像 : nostos books

埼玉県立近代美術館で開催された、小村雪岱の展覧会図録。滅多に流通に出回ることはなく、ときどき古本屋で販売しているのみだ。

ちなみに、このnostos booksさんでは、二〇一九年十月現在で、限定四百八十部発行だった数十年前の貴重な小村雪岱の画集も取り扱っている。

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