アンダース・アンデルセン・ルンビ / 絵

アンダース・アンデルセン・ルンビの絵

アンダース・アンデルセン・ルンビ『冬の森』 1882年

しんと静まり返り、絵のなかから冷え込んだ空気が吹いてきそうな、一瞬写真と見違えるほどの雪景色の絵。

作者は、アンダース・アンデルセン・ルンビ(Anders Andersen-Lundby)。ルンビは、1841年にデンマークの古い農村で生まれ、1923年に亡くなった風景画家だ。

1861年、20歳のときにコペンハーゲンを訪れ、1864年に初めて作品を展示。主にデンマークや南ドイツの冬の雪景色を描き、人気を博す。

その後、家族とドイツに移り、展示会を開き、頻繁にデンマークも訪れたと言う。

100年前の北欧の画家で、それほど有名ではないこともあってか、調べても、あまり情報はなかった。肖像画とされる絵には、白髭で厳格そうな顔つきの老夫が描かれている。

作品は、静寂に包まれた冬の風景画が多く、山や森など、自然のなかの雪景色がよく描かれている。

画集はなく、日本国内で展示会なども開かれたことはないようだ。

アンダース・アンデルセン・ルンビの絵

アンダース・アンデルセン・ルンビの絵

時代的には、写実主義から印象派、そして新時代の芸術へと向かっていく時代の画家だが、あくまで写実的な風景画を好んだのか、静かで美しい雪景色が数多く残されている。

雪景色以外では、湖のような水辺もちらほらと見られる。また、冬だけでなく、緑の生い茂った季節も描かれているものの、比率としては、雪の風景画が多い。

建物や人物もときおり描かれているが、ひっそりと匿名性が保たれ、一枚の静かな冬の風景がただそこにある、といった感覚になる。

それゆえに見ていて落ち着く、ということもあるのかもしれない。

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