写真家トニータニウチと農業

自然農法でレモンを栽培している写真家がいる。名前は、トニータニウチさんと言う。北海道の旭川出身で、本名は谷内俊文さんと言うようだ。

トニーさんの実家は、100年続く老舗の写真屋で、彼自身も芸大を卒業後、世界中の放浪を終え、本格的に写真の道に進む。

その後、ヨーロッパやアジアの各都市で個展を開くなど、カメラマンとして活動し、2006年には、ライカ社のカレンダーのワンシーンに、トニーさんの生まれ故郷である北海道を写した写真が選ばれている。

画像 : 写真家トニータニウチ・谷内俊之の個展「LINEAGE」

写真家として活躍していたトニーさんは、3.11の震災以降、食と農について考え、瀬戸内海の生口島に移住し、農薬などを使わない自然農法でレモンやオレンジなど果樹栽培を始める。

写真家と農業、という宮沢賢治の『農民芸術概論綱要』のような生き方を送っているようだ。

もともとが芸術家ということもあり、果物にもこだわりが強く、自分で納得のいかないものは売りに出さないと言う。納得の基準は、「感動」とのこと。

感動がないと出荷しないそうで、その分だけ出荷量は減る。入荷できるか予測不能である以上、取引先も減少する。それでもいい、という業者さんだけが残っているそうだ。

ゆくゆくは「トニー農園」のみかんを安価で給食として提供するなど、子供たちに食べてもらうことを計画していると言う。

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