Pidalso(ピダルソ)さんとharuka nakamuraさんの音色

最近よく聴いているミュージシャンに、Pidalsoピダルソさんという韓国のピアニストの方がいる。淡く繊細なピアノで、流していると、心がすっとあるべき場所に戻ってくれるような感覚になる。

Pidalsoさんのことを知ったのはジブリの曲のカバーをYouTubeで見かけたことがきっかけだったと思う。『千と千尋の神隠し』や『耳をすませば』など色々な映画の曲がピアノで演奏されている。カバー曲ながら、それはPidalsoさんの世界を通して奏でられた、彼女の世界でもあり、聴き慣れているはずの曲が、懐かしくもありつつ、新しくも響いてくる。もともと日本の作品が好きなのか、ジブリだけでなくアニメや映画のサントラを含め、日本のミュージシャンの曲が数多くカバーされていた。

新しく出た『piano and me』というオリジナルアルバムも、近頃毎日のように聴いている。音色から漂ってくるほのかに寂しいような光の具合がいい。同じピアノのインストゥルメンタルだとharuka nakamuraさんも好きで、たとえばharukaさんの曲はどちらかと言うと春っぽさがあり、Pidalsoさんの曲はほんの少し冬っぽさがあるような気がする。季節というより、光の色の違いなのかもしれない。春の光と、冬の光。なんとなく、そんな風に思う。

この『piano and me』の収録曲には、『kokoro(心)』や『komorebi(木漏れ日)』のような日本語由来の題名もあり、どういった背景から選んだんだろうと公式のブログを読んでみた(と言っても韓国語なので機械翻訳を通しているから、微妙なニュアンスは取りこぼしているかもしれない)ら、漱石や太宰、宮沢賢治の作品についての感想なども書かれていた。日本文学にも親しみがあるらしく、この『kokoro』というタイトルも、漱石の『こころ』からつけられたようだった。

子供の頃に僕はピアノを習っていた。ただどうにもやる気が出ず、毎週憂鬱で仕方がなかった。辞めるというときにはほっとしたような心地だった。でも、だからと言ってそれ以降もピアノの音色自体を嫌いになるといったことはなかったし、むしろどんどん好きになっているように思う。

Pidalsoさんやharukaさんの紡ぎ出すピアノの旋律は、優しい光のようでありながら、心地よく吹き抜けていく風のようでもあり、空っぽなときほど聴いていたくなる。

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