高橋元吉『なにもそうかたを……』 / 詩

高橋元吉『なにもそうかたを……』 /  詩

咲いたら花だった、吹いたら風だった。

これは、詩人の高橋元吉もときちの書いた『なにもそうかたを……』という詩の一節。以下は詩の全文となる。

『なにもそうかたを……』

なにもそうかたをつけたがらなくても
いいのではないか

なにか得体の知れないものがあり
なんということなしに
ひとりでにそうなってしまう
というのでいいのではないか

咲いたら花だった 吹いたら風だった

それでいいではないか

肩の力がふっと抜ける詩で、簡素な言葉ながら、自然との向き合い方が濃縮されている。

また、これは自然に対することだけでなく、ある種の運命との向き合い方にも言えるのかもしれない。

この世のなかのことは、起源や原因を求めすぎることで、かえって捉えることを難しくさせる側面もある。

咲いたら花だった、吹いたら風だった、それでいいではないか。

こういう世界の見方も、ときには必要なのかもしれない。

交友があった彫刻家の高田博厚は、高橋元吉に関して、出世欲がなく、反逆児や拗ね者でもない、と書いている。

書店の店主をつとめながら、細々と詩を書き続けた詩人。作品から漂ってくるような自然体の人柄だったのだろうか。

また、高田は彼の詩について、「自分が真に孤独の時に、語りかけてくるものがあるだろう」と綴っている。

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