雪をつかんで残るもの

詩人の高橋陸郎さんが、谷川俊太郎さんとの対談のなかで、折口信夫の「雪をつかむ」という感覚の話を紹介していた。 日本の詩的な情緒というのは、雪をつかんだときに、その感触は残りながらも、しばらくしてひらく…

“言葉”の由来と、古今和歌集・仮名序

言葉と書いて、ことばと読む。言葉とは、普段使っている日々の文字や発言などを意味し、この言葉によって人々は自身の思考や心情を伝え、交流を深める。 言葉は、少し文学的に“言の葉”と表現することもある。“言…

松尾芭蕉、最後の句

江戸時代の俳諧師で、『おくのほそ道』で知られる松尾芭蕉には、辞世の句とも称される、「旅に病んで夢は枯野をかけ廻めぐる」という句がある。 弟子たちの諍いの仲介のため、大阪に向かう旅に出た松尾芭蕉は、到着…

夏目漱石と「月が綺麗ですね」

明治時代を代表する作家の夏目漱石が、英語の「I love you」を、「愛している」ではなく、「月が綺麗ですね」と訳した、という話がある。 これは英語教師をしていた頃の夏目漱石が、「I love yo…

完璧な文章などといったものは存在しない

作家の村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』の冒頭は、「完璧な文章などといったものは存在しない、完璧な絶望が存在しないようにね。」という一節で始まる。 これは、主人公の「僕」が大学生の頃に偶然出会っ…